保育園のドアノブ・手すり・スイッチの除菌:ガイドラインの方法と光触媒の使いどころ

ドアノブや手すりは、たくさんの手が触れる「接触感染の通り道」です。国のガイドラインでは、水拭きのあとにアルコールなどで消毒することが示されています。光触媒コーティングは、この消毒の代わりではなく、消毒と消毒のあいだを支える補助として考えます。

ガイドラインが示す方法

こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、保育室の衛生管理として次のように示されています。

  • 保育室は、日々の清掃で清潔に保つ
  • ドアノブ、手すり、照明のスイッチなどは、水拭きしたあと、アルコールなどで消毒する
  • 嘔吐物や排泄物の処理には、塩素系の消毒薬(次亜塩素酸ナトリウムなど)を使う
  • 消毒薬は医薬品・医薬部外品を使い、子どもの手の届かない場所に保管する

もう一つ大切なのが、汚れを落としてから消毒するという順番です。汚れが残っていると、消毒薬の効果が落ちてしまいます。

よく触る場所のチェックリスト

園内で「たくさんの手が触れる場所」を洗い出しておくと、清掃の抜けが減ります。

場所 触れる人 日常の手入れ
保育室・トイレのドアノブ 子ども・職員・保護者 水拭き → アルコール
階段・廊下の手すり 子ども・保護者 水拭き → アルコール
照明・換気のスイッチ 職員 水拭き → アルコール(電気部品に液がしみないよう布に含ませる)
玄関の扉・インターホン 保護者・来客 水拭き → アルコール
手洗い場の蛇口 子ども・職員 洗浄 → アルコールまたは塩素系
ロッカー・靴箱の取っ手 子ども・保護者 水拭き → アルコール

ガイドラインには具体的な回数は書かれていません。毎日の清掃に組み込んだうえで、感染症が流行している時期は、自治体や嘱託医の指導に沿って回数を増やすことを検討しましょう。

ノロウイルスの流行期は塩素系に切り替える

ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、感染性胃腸炎が流行している時期や、嘔吐物で汚れたときは、塩素系の消毒薬を使います。塩素系は金属を傷めやすいので、消毒したあとは水拭きで仕上げます。

嘔吐物の処理手順は保育園の嘔吐物処理、流行期の対策全体は保育園のノロウイルス対策で解説しています。

光触媒コーティングは「消毒と消毒のあいだ」の補助

抗菌・抗ウイルスをうたう光触媒コーティングを、手すりやドアノブに使う園もあります。使うなら、次の点を理解したうえで、補助として位置づけましょう。

  • 消毒の代わりにはならない:ガイドラインには光触媒の記載はなく、示されているのは清掃と消毒です
  • 効くのは試験したウイルス・菌:抗ウイルス性能は特定のウイルスで確かめられたもので、すべてのウイルスに効くわけではありません
  • 光が必要:室内なら、照明の光で働く可視光応答型であることを確認します
  • 拭き掃除との相性:毎日の拭き掃除やアルコール・塩素系の消毒で膜が傷まないか、メーカーに確認します
  • 子どもが触れる高さ:施工中・乾燥前は子どもが触れないようにし、安全性の資料(SDS)を確認します

性能表示の見方は「除菌」「抗菌」「抗ウイルス」の違い、安全性の考え方は保育園の光触媒コーティングは安全?をご覧ください。

よくある質問

保育園のドアノブは1日何回消毒すればいいですか?

ガイドラインでは、保育室は日々の清掃で清潔に保ち、ドアノブや手すり、照明のスイッチは水拭きしたあとアルコールなどで消毒することが示されています。具体的な回数は示されていないため、毎日の清掃に組み込んだうえで、感染症が流行している時期は自治体や嘱託医の指導に沿って回数を増やすことを検討します。

ドアノブの消毒はアルコールだけでいいですか?

日常の消毒はアルコールで行うことが多いですが、ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、感染性胃腸炎の流行時や嘔吐物・排泄物で汚れたときは塩素系の消毒薬(次亜塩素酸ナトリウムなど)を使います。

抗ウイルスの光触媒コーティングをすれば、ドアノブの消毒は不要になりますか?

不要にはなりません。抗ウイルス性能は、特定のウイルスを使った試験で確かめられたもので、すべてのウイルスに効くことを示すものではありません。また光が当たらないと働かず、拭き掃除で膜が傷むこともあります。ガイドラインどおりの清掃・消毒を続け、コーティングはその補助と考えてください。

参考資料