保育園の嘔吐物処理の手順:次亜塩素酸ナトリウムの濃度と作り方

ノロウイルスなどの感染性胃腸炎は、嘔吐物の処理の仕方で広がり方が大きく変わります。手順をあらかじめ決め、処理セットを用意しておくことが、園内での集団発生を防ぐ第一歩です。

このページは、国の手引きや自治体の通知をもとに、一般的な手順をまとめたものです。園の実際の手順は、所管の自治体や嘱託医の指導に従ってください。

用意しておく処理セット

すぐに使えるよう、各保育室やトイレの近くにまとめて置いておきます。

  • 使い捨てのマスク、手袋(2枚重ねにできる量)、エプロン
  • ペーパータオル、使い捨ての布
  • ビニール袋(二重にできる量)
  • 塩素系消毒薬(家庭用の塩素系漂白剤など)と、希釈用の容器・計量カップ
  • バケツ
  • 処理手順を書いたカード

次亜塩素酸ナトリウムの濃度と作り方

用途 濃度の目安 家庭用漂白剤(約5%)を使う場合
嘔吐物・便で汚れた床などの処理 0.1%(1,000ppm) 約50倍に薄める(例:水500mlに漂白剤10ml)
周辺の環境の拭き取り、ドアノブ・トイレなど 0.02%(200ppm) 約250倍に薄める(例:水500mlに漂白剤2ml)
  • 漂白剤の濃度は製品によって違うので、必ず表示を確認する
  • 作り置きはしない(その日のうちに使う)
  • 酸性の洗剤と混ぜない(有毒なガスが出る)
  • 金属を腐食させることがあるため、消毒後は水拭きする

処理の手順

  1. 子どもを遠ざける:嘔吐した子どもをケアしつつ、周りの子どもを別の場所へ移動させる
  2. 換気する:窓を開ける
  3. 身支度をする:処理する人は、使い捨てのマスク・手袋・エプロンを着ける
  4. 覆って拭き取る:嘔吐物をペーパータオルで覆い、外側から内側に向けて、静かに拭き取る(飛び散らせない)
  5. 袋に入れる:拭き取ったものはビニール袋に入れる
  6. 消毒する:嘔吐物があった場所とその周辺を、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを含ませたペーパーで覆うか浸すように拭く
  7. 水拭きする:時間を置いてから水拭きする
  8. 処分する:使ったペーパー、手袋、エプロンを袋に入れ、口をしっかり縛って二重にして捨てる
  9. 手を洗う:石けんと流水で丁寧に手を洗う
  10. 換気を続ける:処理後もしばらく換気する

消毒の前に嘔吐物をしっかり取り除くことが重要です。嘔吐物が残っていると、消毒薬の効果が下がります。

衣類やタオルが汚れたら

  • 嘔吐物を取り除いてから、ビニール袋に入れて保護者に返す、または園の方針に従って処理する
  • 園で洗う場合は、ほかの洗濯物と分け、塩素系消毒薬への浸け置きや熱による消毒を行う

乾いた嘔吐物に注意

乾燥した嘔吐物からは、ウイルスが空気中に舞い上がることがあります。時間を置かずに処理すること、見落としがちな家具の脚や壁の下の方も確認することが大切です。

光触媒コーティングとの関係

光触媒コーティングは、嘔吐物の処理や消毒の代わりにはなりません。日常の清掃を補う手段として位置づけ、嘔吐物は必ずこのページの手順で処理してください。ノロウイルスの流行期全体の対策は保育園のノロウイルス対策で解説しています。

よくある質問

嘔吐物の処理にアルコールは使えますか?

ノロウイルスにはアルコール消毒が効きにくいため、嘔吐物の処理には次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒薬を使います。自治体の通知でも、逆性石けんやアルコールは嘔吐物の処理に適さないとされています。

0.1%の次亜塩素酸ナトリウムはどう作りますか?

家庭用の塩素系漂白剤は製品によって濃度が違うため、表示の濃度を確認して薄めます。濃度が約5%の製品なら、約50倍に薄めると約0.1%になります。作り置きはせず、その日のうちに使い切るのが基本です。

光触媒コーティングをしている床でも、嘔吐物の消毒は必要ですか?

必要です。光触媒は表面に付いたものを時間をかけて分解する仕組みで、嘔吐物の処理や消毒の代わりにはなりません。手順どおりに処理してください。

参考資料