介護施設の消臭に光触媒は効く?排泄臭・アンモニア臭の根本対策と感染対策

介護施設のニオイの多くは、排泄物とその処理の過程で生まれます。光触媒は、発生源の管理と換気を整えたうえで、残るニオイを減らす補助として使うと効果を発揮しやすくなります。

介護施設のニオイはどこから来るのか

介護施設のニオイの中心は、尿や便に由来する排泄臭です。尿は時間がたつと細菌によって分解され、アンモニアの強いニオイを出します。主な発生源は次のとおりです。

  • おむつ・パッド:交換後のおむつの保管や、ふたのないゴミ箱
  • 汚物処理室:使用済みのおむつやポータブルトイレの処理
  • トイレの床・壁:尿の飛び散り、便器の周りや床の目地へのしみ込み
  • 居室の寝具・床:失禁による寝具やマットレス、床材へのしみ込み
  • 衣類・リネン:汚れた衣類やシーツの保管

ニオイが「施設全体にしみついている」と感じる場合でも、たいていは発生源がいくつかの場所に集中しています。どこから出ているかを特定することが、根本対策の第一歩です。

根本的な脱臭は「発生源の管理」から

アンモニア臭を根本から減らすには、発生源で止めることが一番の近道です。

発生源 対策
使用済みおむつ 交換後すぐに袋で密閉し、ふた付きの容器へ。保管時間を短くする
汚物処理室 換気扇を常時運転し、扉を閉めて他の場所へ空気が流れないようにする
トイレの床・壁 尿の飛び散りを毎日拭き取る。目地にしみ込んだ尿は専用の洗浄剤で処理
寝具・マットレス 防水シーツを使い、汚れたらすぐに交換・洗濯する
汚れた衣類 ふた付きの容器で保管し、早めに洗濯する

こうした対策で発生源を減らしたうえで、それでも残るニオイに対して光触媒を使うと、効果を実感しやすくなります。

光触媒コーティングが担える役割

  • 光が当たる壁や天井での残り香の分解:廊下、食堂、居室の窓際など
  • トイレの壁・床のニオイの補助的な軽減:毎日の拭き取りを前提に、光の当たる面で
  • よく触れる面の清潔さを保つ補助:手すり、ドアノブ、エレベーターのボタン、テーブルなど

夜間は照明が落ちる時間が長く、居室のベッド周りは光が当たりにくい場所でもあります。夜間に強くなるニオイには、コーティングだけでなく、換気や光源内蔵の脱臭機・空気清浄機を組み合わせることが必要です。

感染対策の基本と光触媒の位置づけ

介護施設では、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの集団感染(クラスター)を防ぐことが重要です。厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き」では、次のような対策が示されています。

  • 手指衛生と、血液・体液・排泄物などを感染の可能性があるものとして扱う標準予防策
  • ノロウイルスはアルコール消毒では十分な効果が得られないため、次亜塩素酸ナトリウムなどを使う
  • 嘔吐物・排泄物で汚れた床は0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで清拭し、その後に水拭きする
  • ノロウイルス発生時の環境清掃には0.02%の次亜塩素酸ナトリウムを使う
  • 消毒液の噴霧は避ける
  • 嘔吐物処理の前後には窓を開けて換気する

光触媒コーティングは、これらの対策の代わりにはなりません。表面に付いたものをゆっくり分解する仕組みのため、汚染物の処理や、空気中の病原体への対策には使えません。日常清掃の補助として、よく触れる面の清潔さを保つ目的で使うのが適切です。

介護施設で光触媒を導入するときの注意点

  • 入居者がいない状態で施工する:居室ごとに順番に施工するなど、計画を立てます
  • 換気と乾燥時間を守る:高齢者は呼吸器の持病がある人も多いため、施工後の換気は十分に行います
  • SDSと安全性資料を確認する:成分、施工時の注意、乾燥後の安全性について業者から資料を受け取ります
  • 清掃方法との相性を確認する:次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬で拭いたときの膜の耐久性を確認します
  • 家族や入居者への説明に注意する:「感染を防ぐ」といった表現は避け、ニオイ対策と清潔保持の補助として説明します

場所ごとの細かなニオイ対策は老人ホームのニオイ対策で、業者選びは光触媒コーティングの選び方で解説しています。

よくある質問

介護施設のアンモニア臭は光触媒だけで消せますか?

光触媒だけで消すのは難しいと考えてください。アンモニア臭は、床や寝具にしみた尿、おむつの保管、汚物処理室など、発生源から出続けています。発生源の管理と換気を整えたうえで、残るニオイを減らす補助として光触媒を使うのが現実的です。

光触媒コーティングで施設内のクラスターを防げますか?

光触媒コーティングに、集団感染を防ぐ効果を期待するのは適切ではありません。クラスター予防の基本は、手指衛生、標準予防策、適切な消毒、換気、職員と利用者の体調管理です。光触媒は、よく触れる面の清潔さを保つ補助として位置づけてください。

入居者がいる状態で施工できますか?

スプレー施工ではミストが舞うため、施工する部屋は入居者がいない状態にし、換気と乾燥時間を確保する必要があります。居室ごとに順番に施工するなど、施工計画を業者と相談してください。

参考資料