「除菌」「抗菌」「抗ウイルス」「消毒」の違い:表示の意味とSIAAマークの見方
保育園や介護施設、動物病院で製品を選ぶとき、「除菌」「抗菌」「抗ウイルス」の表示は判断の手がかりになります。ただし、これらは「病気を防ぐ」ことを示す言葉ではありません。意味の違いを知っておくと、言い過ぎの宣伝を見分けやすくなります。
5つの言葉の意味
| 言葉 | 意味 | どんな製品に使われるか |
|---|---|---|
| 滅菌 | すべての微生物を完全に殺す、または取り除く | 医療器具など |
| 殺菌 | 微生物を殺す | 医薬品・医薬部外品など |
| 消毒 | 病気の原因になる微生物を殺す、または取り除く | 医薬品・医薬部外品(承認されたものだけが表示できる) |
| 除菌 | 物の表面や限られた空間から微生物を取り除く | 洗剤、除菌シート、除菌スプレーなど |
| 抗菌 | 製品の表面で細菌が増えるのを抑える | 抗菌加工の製品、抗菌コーティング |
| 抗ウイルス | 製品の表面でウイルスを不活化する | 抗ウイルス加工の製品、抗ウイルスコーティング |
大きく分けると、滅菌・殺菌・消毒・除菌は「今ある微生物を減らす」働き、抗菌・抗ウイルスは「表面で増えにくくする・働かなくする」働きです。抗菌の製品でも、汚れたら拭き取りや消毒が必要なのはこのためです。
保育所の感染症対策ガイドラインでも、消毒には医薬品・医薬部外品の消毒薬を使うことが示されています。
SIAAマークの基準
SIAAマークは、抗菌製品技術協議会(SIAA)が定めた基準を満たした製品に付けられるマークです。
| 抗菌加工 | 抗ウイルス加工 | |
|---|---|---|
| 主な試験方法 | JIS Z 2801(ISO 22196) | ISO 21702 |
| 性能の基準 | 抗菌活性値 2.0以上 | 抗ウイルス活性値 2.0以上 |
| 意味 | 加工していない面と比べて、菌の数を100分の1以下に抑える | 加工していない面と比べて、ウイルスの増える割合を100分の1以下に抑える |
このほか、使う環境を想定した耐水性・耐光性の試験や、安全性(急性経口毒性、皮膚刺激性など)の基準も設けられています。
一方で、知っておきたい点もあります。
- 自己認証の仕組み:第三者の認証ではなく、会員企業が試験データを提出し、SIAAが書類で確認する仕組み
- 病気の予防・治療が目的ではない:抗ウイルス加工の製品には、その旨の注意書きが添えられていることが多い
- すべての菌・ウイルスに効くわけではない:性能は、試験に使った菌やウイルスについて確かめたもの
光触媒製品の試験規格
光触媒は光が当たって初めて働くため、光を当てて試験する専用の規格があります。
| 紫外線で働くタイプ | 室内の照明(可視光)で働くタイプ | |
|---|---|---|
| 抗菌 | JIS R 1702 | JIS R 1752 |
| 抗ウイルス | JIS R 1706 | JIS R 1756 |
日本塗料工業会のガイドラインでは、光触媒の効果をうたうなら光触媒用の規格で試験することとされています。室内で使う製品なら、可視光の規格で試験されているかを確認しましょう。光触媒工業会も、独自の基準で光触媒製品の認証を行っています。
表示を見るときの注意点
- 「消毒」「ウイルス除去」など、病気を防ぐような表現をしていないか
- 抗菌・抗ウイルスの性能が、どの試験規格で、どの菌・ウイルスについて確かめられたものか
- 光触媒製品なら、使う場所の光(紫外線か可視光か)に合った試験をしているか
- 「空間のウイルスを除去」など、表面ではなく空間への効果をうたっていないか
実際の効果より良く見せる表示は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。空間への効果をうたう製品については空間除菌グッズは効果がある?、抗ウイルスコーティングの詳しい見方は抗ウイルスコーティングとは?で解説しています。
よくある質問
除菌と消毒は何が違うのですか?
消毒は病気の原因になる微生物を殺したり取り除いたりすること、除菌は物の表面や限られた空間から微生物を取り除くことを指します。消毒をうたえるのは、薬機法で承認された医薬品・医薬部外品に限られます。雑貨として売られる製品は「除菌」までの表示になります。
抗菌と除菌は何が違うのですか?
抗菌は、製品の表面で細菌が増えるのを抑えることです。すでに付いている菌を取り除く除菌とは働きが違います。抗菌加工の製品でも、汚れたら拭き取りや消毒は必要です。
SIAAマークが付いていれば安心ですか?
SIAAマークは、決められた試験方法で一定の性能(菌やウイルスの増え方を100分の1以下に抑える)と安全性を確かめた製品に付く目印で、製品選びの参考になります。ただし、病気の予防や治療を目的とするものではなく、すべての菌やウイルスに効くことを示すものでもありません。また、第三者の認証ではなく、会員企業による自己認証の仕組みです。




