介護施設の共用部の除菌:手すり・食堂・浴室の接触感染対策と光触媒
共用部は、利用者と職員の手が次々に触れる場所です。厚生労働省の手引きでは、床や壁は水拭き、手すりやドアノブなど多くの人が触れる場所はアルコールで消毒する、という使い分けが示されています。光触媒は、この手順を置き換えるものではありません。
手引きが示す基本:水拭きと消毒の使い分け
厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」では、環境の清掃について次のように示されています。
- 床・壁・ドアは、水拭きで清潔に保つ
- ドアノブ、手すり、ボタン、スイッチなど多くの人が触れる場所は、状況に応じて消毒する(例:消毒用エタノール)
- 共用のタオルは使わず、使い捨てのペーパータオルにする
- 消毒薬の噴霧はしない(効果が不確実で、吸い込むと有害なため)
すべてを消毒するのではなく、「手が触れる場所」を重点的に消毒するのが基本です。
場所別の手入れ
| 場所 | 手引きに沿った手入れ | ポイント |
|---|---|---|
| 廊下・トイレの手すり | エタノールで拭く | 利用者が体重を預ける場所。上下の握り部分まで |
| ドアノブ・エレベーターのボタン | エタノールで拭く | 職員・面会者も触れる |
| 食堂のテーブル | エタノールで拭く | 食事の前後に |
| 職員のロッカー・パソコン・電話 | エタノールで拭く | 職員の手を介した広がりを防ぐ |
| 浴槽 | 洗剤と湯で洗う | 感染症の利用者は、できれば個別に入浴し、使用後は換気して病原体に合った消毒をする |
| 床・壁 | 水拭き | 嘔吐物・排泄物で汚れたら塩素系で処理 |
食堂で気をつけること
- 食事介助の前は、職員が石けんと流水で手を洗う
- コップや自助具は、使ったあと洗剤で洗浄する
- 共用のおしぼり・タオルは避け、使い捨てにする
ノロウイルスのときは塩素系に切り替える
手引きでは、ノロウイルスにはアルコールの効果が十分ではないとされています。感染性胃腸炎が出たときは、0.02〜0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで拭き、金属の腐食を防ぐため水拭きで仕上げます。汚れが残っていると効果が落ちるので、先に汚れを取り除いてから消毒します。
光触媒コーティングを補助に使うなら
抗菌・抗ウイルスの光触媒コーティングを、手すりやドアノブに使う施設もあります。使うなら次の点を押さえておきましょう。
- 手引きにはコーティングの記載がない:基本はあくまで清掃と拭き取り消毒
- 効くのは試験した菌・ウイルス:すべてのウイルスに効くわけではない
- 光が必要:廊下や浴室は暗いことが多く、照明で働く可視光応答型でも効きは弱くなる
- 拭き掃除・消毒薬への耐久性:毎日のエタノールや塩素系での拭き取りで膜が傷まないか確認する
- 浴室は条件が厳しい:湿気と水濡れで膜が傷みやすい
表示の見方は「除菌」「抗菌」「抗ウイルス」の違いで解説しています。
よくある質問
介護施設の手すりは何で消毒すればいいですか?
厚生労働省の手引きでは、手すりやドアノブ、食卓などは消毒用エタノールで拭くことが示されています。ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、感染性胃腸炎が出たときは0.02〜0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで拭き、金属が傷まないよう水拭きで仕上げます。
共用部に消毒薬を噴霧してもいいですか?
手引きでは、消毒薬の噴霧は効果が不確実で、吸い込むと有害なため行わないよう示されています。消毒は、布やペーパーに含ませて拭き取る方法で行います。
手すりに抗菌・抗ウイルスコーティングをする意味はありますか?
毎日の消毒と消毒のあいだの時間に、表面で菌やウイルスが増えにくくなる補助としては意味があります。ただし手引きにコーティングの記載はなく、消毒の代わりにはなりません。試験されたウイルスや菌の種類、拭き掃除や消毒薬への耐久性を確認してから選んでください。




