介護施設の集団感染を防ぐ:標準予防策・報告基準・BCPと光触媒の位置づけ
介護施設の集団感染は、人から人へ、職員の手や体を介して広がるのが中心です。そのため対策の柱は、標準予防策と施設の体制づくりです。光触媒のような環境の対策は、その外側にある補助にとどまります。
集団感染はどこから広がるのか
介護施設では、利用者の多くが高齢で、介助のために職員が体に触れる機会が多くあります。そのため感染は、次のような経路で広がりやすくなります。
- 飛沫:咳やくしゃみ(インフルエンザ、新型コロナなど)
- 職員の手・体:介助のときに、利用者から利用者へ運んでしまう
- 嘔吐物・排泄物:処理のときに広がる(ノロウイルスなど)
どの経路も、人と人のあいだで起きているのがポイントです。
対策の柱1:標準予防策
手引きでは、病名にかかわらず、次のものをすべて感染の可能性があるものとして扱う「標準予防策」が基本とされています。
- 血液、汗を除く体液、分泌物、排泄物
- 傷のある皮膚、粘膜
具体的には、次のような行動になります。
| 場面 | すること |
|---|---|
| 体液・嘔吐物・便、粘膜に触れるとき | 手袋をつける |
| 衣服が汚れそうなとき | 長袖のガウンやエプロンをつける |
| 体液が飛び散りそうなとき | マスク、ゴーグル、フェイスシールドを加える |
| 手袋を外したあと | 手指衛生(目に見える汚れがあれば石けんと流水) |
| 利用者が変わるとき | 手袋・エプロンを使い回さない |
対策の柱2:施設の体制づくり
手引きでは、2021年4月からすべての介護サービスで感染症の予防とまん延防止の措置が求められ、3年の経過措置が設けられました。主な内容は次のとおりです。
- 感染対策を検討する委員会
- 指針・マニュアルの整備
- 職員の研修と訓練を定期的に行う
さらに、感染症や災害が起きても事業を続けるための業務継続計画(BCP)は、2024年4月1日から義務化されています。計画を作るだけでなく、研修・訓練と定期的な見直しも求められます。
発生したときの報告基準
国の通知では、次のいずれかにあたる場合、施設長は市町村と保健所に報告することになっています。
- 同じ感染症や食中毒による(疑いを含む)死亡者・重篤な患者が1週間以内に2名以上
- 同じ感染症や食中毒の患者・疑いのある人が10名以上、または全利用者の半数以上
- 上の2つにあたらなくても、通常を上回る発生が疑われ、施設長が報告が必要と判断した場合
運用の細かい点は自治体ごとに案内があるので、所在地の自治体の情報も確認してください。
環境の対策と光触媒の位置づけ
環境の対策で手引きが重視しているのは、よく触る場所の拭き取り消毒と、消毒薬を噴霧しないことです。具体的な方法は共用部の接触感染対策と居室・ベッドまわりの衛生管理で解説しています。
光触媒コーティングは、この環境の対策のさらに補助です。
| 対策 | 集団感染への効き方 | 光触媒で代わりになる? |
|---|---|---|
| 標準予防策・手指衛生 | 直接防ぐ | ならない |
| 早期発見・ゾーニング | 広がりを止める | ならない |
| よく触る場所の消毒 | 接触感染を減らす | ならない(消毒と消毒のあいだの補助にとどまる) |
| 光の当たる壁・天井のコーティング | ほぼ関係しない | ニオイ対策としての意味が中心 |
「空間のウイルスを除去する」とうたう製品の考え方は、空間除菌グッズは効果がある?をご覧ください。
よくある質問
介護施設で何人感染したら保健所に報告が必要ですか?
国の通知では、同じ感染症や食中毒による死亡者・重篤な患者が1週間以内に2名以上出た場合、または患者や疑いのある人が10名以上か全利用者の半数以上出た場合などに、市町村と保健所へ報告することになっています。運用は自治体ごとに案内があるので、所在地の自治体の情報も確認してください。
介護施設のBCPは義務ですか?
感染症や災害に備えた業務継続計画(BCP)の策定、研修・訓練、定期的な見直しは、2024年4月1日から介護サービス事業者に義務づけられています。
光触媒で集団感染を防げますか?
防げるとは言えません。集団感染の主な経路は、飛沫や、職員の手・体を介した接触です。光触媒は塗った面に触れたものにしか働かないため、標準予防策や早期発見、ゾーニングといった対策の代わりにはなりません。




