暗い場所でも効く光触媒はある?薬剤の種類と選び方
「北向きの部屋」「窓のないトイレ」「夜しか照明をつけない寝室」。光触媒を検討していて、うちの部屋は暗いけれど効くのかな、と迷う方は少なくありません。結論から言うと、光触媒そのものは光がなければ働きません。ただし、室内灯で働く材料や、暗い場所でも働く成分を組み合わせた製品はあります。違いを知っておくと、製品選びで失敗しにくくなります。
まず結論:光触媒は「暗いと働かない」、でも選び方はある
- 光触媒の反応は、光が当たっているあいだだけ起きます。 真っ暗な場所では、ニオイの分解も菌やウイルスの分解も進みません。
- 室内灯で働く材料はあります。 紫外線がほとんどない室内でも働く「可視光応答型」の光触媒です。ただし、試験はある程度明るい条件で行われています。
- 暗い場所でも働く成分を組み合わせた製品もあります。 銅や銀を加えた製品は、光がなくても抗菌・抗ウイルスの働きを持つと説明されています。これは光触媒ではなく、銅や銀そのものの働きです。
- 暗い場所のニオイには向きません。 ニオイ成分の分解は光触媒の反応によるもので、銅や銀を加えても暗い場所ではほとんど期待できません。
そもそも、なぜ光が必要なのか
光触媒は、光のエネルギーを吸収したときに、表面で強い酸化力を持つ物質(活性酸素種)をつくります。この物質が、触れたニオイ成分や菌、ウイルスを分解します。光を吸収しなければ、この物質はつくられません。
つまり、「どの光で」「どのくらいの明るさで」働くかは、材料によって決まります。ここが製品選びのいちばんの分かれ目です。
光の種類で見る、3つのタイプ
| タイプ | 主な成分 | 働く光 | 暗い場所では | 向いている場所 |
|---|---|---|---|---|
| 紫外線型 | 酸化チタン | 太陽光の紫外線 | 働かない | 外壁、窓ガラス、日当たりのよい窓際 |
| 可視光応答型 | 酸化タングステン、銅などを加えた酸化チタン | 室内灯(白色LED・蛍光灯)でも働く | 光触媒としては働かない | 照明の当たる室内の壁・天井 |
| 銅・銀などを組み合わせたタイプ | 光触媒+銅・銀の化合物 | 明るい場所では光触媒も働く | 銅・銀による抗菌・抗ウイルスの働きは残る(ニオイの分解は期待しにくい) | ドアノブ・手すりなど、暗くなる時間がある場所 |
紫外線型(酸化チタン)
もっとも古くからある光触媒です。働くのは主に紫外線なので、太陽光が直接当たる外壁や窓ガラスでは力を発揮しますが、紫外線がほとんどない室内灯の下では働きにくくなります。室内用の製品を選ぶときは、成分が酸化チタンだけになっていないか確認しましょう。
可視光応答型(酸化タングステン系・銅系など)
室内灯の光でも反応するように工夫された光触媒です。たとえば「ルネキャット」は三酸化タングステンを主成分とし、メーカーは「室内灯でも光触媒効果を発揮する」と説明しています。
ただし、「室内灯で働く」は「暗くても働く」という意味ではありません。公開されている試験の多くは、次のようにある程度明るい条件で行われています。
| 公開されている試験の例 | 光の条件 | 時間 | 結果 |
|---|---|---|---|
| シャープの光触媒(新型コロナウイルス) | 白色LED 1,000ルクス | 2時間 | 感染価 99.997%減少 |
| シャープの光触媒(ネコ腸コロナウイルス) | 白色LED 500ルクス | 24時間 | 感染価 99.98%減少 |
| 東芝の可視光応答型光触媒(新型コロナウイルス) | 蛍光灯 3,000ルクス | 6時間 | 感染価 99.2%以上低下 |
| 東京工業大学などの銅系光触媒(新型コロナウイルス) | 紫外線をカットした白色蛍光灯 1,000ルクス | 1時間/2時間 | 99.7%減少/検出限界以下 |
※ 各社・各機関の公開資料より。試験は小さな試験片の上で行われたもので、実際の部屋で同じ結果が出ることを示すものではありません。
照明の真下のテーブルなら500ルクスを超えることもありますが、部屋の隅や壁の下のほう、夜の間接照明の下では、もっと暗くなることが多いものです。
銅や銀を組み合わせたタイプ
光触媒に銅や銀の化合物を組み合わせた製品です。銅や銀は、もともと光がなくても菌やウイルスに作用する性質を持っています。
東京工業大学・奈良県立医科大学・神奈川県立産業技術総合研究所の研究グループが2020年に発表した銅系の可視光応答形光触媒(酸化銅と酸化チタンの複合体)では、光を当てた条件に加えて、暗い場所でも4時間で新型コロナウイルスが検出限界以下まで減少したと報告されています。
ここで大事なのは、暗い場所での働きは「光触媒の反応」ではなく「銅の働き」だという点です。そのため、
- 菌やウイルスへの働きは、暗い時間帯もある程度期待できる
- ニオイ成分の分解は光触媒の反応によるため、暗い場所ではほとんど進まない
- 銅や銀の働きは、表面が汚れたり、こすれて減ったりすると落ちる
という違いがあります。
「暗所でも効く」と書かれた製品を見るときの4つの確認点
- 何に効くのか:菌、ウイルス、ニオイ、カビのどれについての試験か。暗い場所で効くのが菌だけなら、ニオイ対策には役立ちません。
- 暗所で試験したのか:光を当てた試験の結果だけを載せて「暗所でも」とうたっていないか。暗所の試験結果が別に示されているかを確認します。
- どの規格・どの条件か:光の種類と明るさ(ルクス)、時間、試験機関。規格名(JISなど)が書かれていれば、比べる手がかりになります。
- 成分が書かれているか:銅や銀を使っているのか、光触媒だけなのか。成分が分からなければ、暗い場所で働く理由も確かめられません。
場所別:暗い場所での選び方
| 場所 | 明るさの傾向 | おすすめの対策 |
|---|---|---|
| 窓のないトイレ・洗面所 | 照明をつけている時間だけ明るい | 光触媒は照明の近くの壁・天井だけ。ニオイは換気扇と掃除を優先 |
| 北向きの部屋 | 日中も室内灯に頼る | 可視光応答型を、照明がよく当たる面に |
| 寝室 | 夜は消灯、日中は窓際以外暗め | 窓際のカーテンなど、日中に光が当たる場所に限る |
| 玄関・廊下 | 照明をつける時間が短い | 光触媒には向きにくい。靴箱は吸着剤と換気 |
| クローゼット・靴箱の中 | ほぼ真っ暗 | 光触媒は働かない。除湿・吸着剤・換気 |
| ドアノブ・手すり | 夜は暗いことが多い | こまめな拭き取りが基本。加工するなら銅・銀を組み合わせ、暗所の試験結果がある製品 |
明るさを測ってから決める
自分の部屋がどのくらい明るいかは、思っているより分かりにくいものです。スマートフォンの照度計アプリを使えば、おおよその明るさを測れます。
- 施工したい場所(壁なら壁の前)にスマートフォンを置く
- 昼間と夜、照明をつけた状態とつけない状態で測る
- 公開されている試験の条件(500〜1,000ルクス程度)とくらべる
アプリの数値はあくまで目安ですが、「照明の真下」と「部屋の隅」で何倍も違うことが分かるはずです。明るい場所から優先して施工すれば、むだが少なくなります。
まとめ
- 光触媒は、光が当たっているあいだだけ働く。暗い場所では働かない
- 室内なら可視光応答型を選ぶ。ただし試験はある程度明るい条件
- 銅や銀を組み合わせた製品は、暗い場所でも抗菌・抗ウイルスの働きが期待できる。ただしそれは光触媒の働きではなく、ニオイの分解は期待しにくい
- 「暗所でも効く」は、何に・どんな条件で効くのかを確かめる
- 迷ったら、まず明るさを測り、明るい場所から使う
効かないと言われる理由は光触媒が効果ないと言われる理由、室内向けの材料の違いは可視光応答型の光触媒、市販スプレーの比較は光触媒スプレーのおすすめ比較で詳しく解説しています。
よくある質問
光触媒は夜や暗い部屋でも効きますか?
光触媒の反応そのものは、光が当たっているあいだだけ起きます。夜に照明を消した部屋や、収納の中では働きません。銅や銀を組み合わせた製品は、暗い場所でも抗菌・抗ウイルスの働きを持つと説明されていますが、これは光触媒の反応ではなく、銅や銀そのものの性質によるものです。
暗い部屋のニオイ対策に、光触媒は向いていますか?
向いていません。ニオイ成分の分解は光触媒の反応によるもので、暗い場所では進みません。暗い部屋のニオイには、発生源の掃除、換気、活性炭などの吸着剤を優先しましょう。
どのくらいの明るさがあれば光触媒は働きますか?
公開されている試験では、白色の蛍光灯やLEDで500〜1,000ルクス程度の条件がよく使われます。一般的な住宅の部屋は、照明の真下を除くとこれより暗いことが多いため、スマートフォンの照度計アプリなどで、施工したい場所の明るさを一度測ってみるのがおすすめです。
「暗所でも効く」と書かれた製品は信用できますか?
何に対して、どんな条件で効くのかを確かめましょう。試験の対象(菌かウイルスか、ニオイか)、光を当てない「暗所」で試験したのか、時間は何時間か、が書かれていない場合は、判断の材料が足りません。
暗い場所には何を使えばいいですか?
ドアノブや手すりなど手で触れる場所は、アルコールなどでこまめに拭くのが基本です。抗菌・抗ウイルス加工をしたい場合は、銅や銀を組み合わせ、暗所での試験結果を公開している製品を選びましょう。ニオイには、発生源の掃除と換気、吸着剤が向いています。




