採用ハリネズミ

2026-04-18

面接で聞いてはいけないことリスト|採用担当者が知るべきNG質問と代替表現

採用面接で聞いてはいけないNG質問を厚生労働省のガイドラインをもとに解説。出身・家族・宗教などの禁止事項と、代わりに何を聞くべきかの具体的な代替質問を紹介します。

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「ご実家はどちらですか?」「ご両親のお仕事は?」——こうした質問を雑談のつもりで聞いている面接官がいます。だが、これらは厚生労働省が明確に「聞いてはいけない」と定めた違反質問です。知らずに聞いていたでは済まない時代になっています。

この記事では、面接でしてはいけない質問を一覧で示し、それぞれに対して「代わりに何を聞けばいいか」という代替質問をセットで紹介します。明日からの面接でそのまま使えます。

なぜ面接でのNG質問が問題になるのか

NG質問には2つのリスクがあります。1つは法的リスク、もう1つは応募者からの信頼喪失です。

法的根拠は職業安定法第5条の4と、厚生労働省が定める「公正な採用選考の基本」にあります。本人に責任のない事項(本籍・家族・生活環境など)や、本来自由であるべき事項(思想・信条・宗教など)を採用の判断材料にすることは、就職差別につながるとして明確に禁止されています。違反した場合、ハローワークからの指導や是正勧告、悪質な場合は事業所名の公表対象になります。

もう1つのリスクは応募者の口コミです。OpenWorkや転職会議に「面接で家族構成を聞かれた」と書き込まれれば、その後の応募者数に直撃します。特に優秀な候補者ほど、面接の質で企業を見極めています。

❌ 悪い例:「うちは小さい会社だから、堅苦しい決まりは気にせず雑談のつもりで聞いている」 ✅ 良い例:「面接は応募者から評価される場でもある。NG質問を避けることは、企業ブランドを守る行為だと認識している」

厚生労働省が定めるNG質問カテゴリ

厚生労働省が示す「就職差別につながるおそれのある14事項」は以下の通りです。

本人に責任のない事項

  1. 本籍・出生地に関すること
  2. 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
  3. 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
  4. 生活環境・家庭環境に関すること

本来自由であるべき事項

  1. 宗教に関すること
  2. 支持政党に関すること
  3. 人生観・生活信条に関すること
  4. 尊敬する人物に関すること
  5. 思想に関すること
  6. 労働組合・学生運動など社会運動に関すること
  7. 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

採用選考の方法

  1. 身元調査などの実施
  2. 本人の適性・能力に関係のない事項を応募用紙に記入させる
  3. 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

「尊敬する人物は?」という質問が典型的にアウトだと知らない面接官は多いです。これは思想・信条を推し量る質問とみなされるからです。

NG質問と代替質問のセット

ここからが実務で一番使える部分です。NG質問を「何を知りたかったのか」に分解し、合法的に同じ情報を得る代替質問に置き換えます。

❌「ご実家はどちらですか?」 → 本籍・出生地を聞いていることになります。 ✅「通勤時間はどのくらいかかりますか?」「転勤の可能性がありますが対応できますか?」 → 知りたかったのは通勤・勤務可能性。それをそのまま聞けばよいです。

❌「ご両親のお仕事は?」「ご兄弟はいますか?」 → 家族の職業・構成を聞くのは明確にNGです。 ✅「当社の仕事内容で、ご家族から理解を得られていますか?」(夜勤・出張がある場合のみ) → 業務遂行に関わる範囲に限定します。

❌「結婚のご予定は?」「お子さんは考えていますか?」 → 男女雇用機会均等法にも抵触します。 ✅「長期的にキャリアを築いていきたいとお考えですか?」 → 定着性を確認したいなら、直接そう聞きます。

❌「尊敬する人物は誰ですか?」「愛読書は?」 → 思想・信条に関わる質問です。 ✅「これまでの仕事で一番影響を受けた経験は何ですか?」「最近、業務に関連して学んでいることは?」 → 知りたいのは学習姿勢や価値観の形成過程。それを業務文脈で聞きます。

❌「宗教は何ですか?」「支持政党は?」 → 完全にNGです。 ✅(聞かない) → これらは採用判断に無関係。代替質問すら不要です。

❌「持ち家ですか?賃貸ですか?」 → 住宅状況のNG質問です。 ✅「勤務地の変更があった場合、対応可能な範囲を教えてください」 → 知りたいのは転勤可否です。

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やりがちなグレーゾーン質問

明確なNGではありませんが、運用を誤るとアウトになる質問があります。

血液型。「A型ですか?」は医学的情報で、業務と無関係。雑談でも避けましょう。

出身校の深掘り。学歴自体を聞くのは問題ありませんが、「どのあたりの学校ですか?」と地域を特定しようとすると本籍地の推測になります。学校名を確認するだけにとどめましょう。

転職回数への過度な追及。「なぜそんなに転職しているんですか?」と責める口調で聞くのは、本人の能力ではなく人格評価に踏み込みます。「それぞれの転職で、何を得ましたか?」と能力・経験の観点で聞けばよいです。

健康状態。業務遂行に関係しない病歴は聞けません。「現在の業務に支障をきたす健康上の制約はありますか?」という業務限定の聞き方なら問題ありません。

❌ 悪い例:「転職が5回もありますが、何か問題があったんですか?」 ✅ 良い例:「5社のご経験がありますが、それぞれの会社で身につけたスキルを教えてください」

NG質問をしてしまった場合の対処法

うっかり聞いてしまうことはあります。その場で取り返す方法を知っておきましょう。

  1. すぐに質問を撤回する:「申し訳ありません、今の質問は業務と関係ないので取り消します」
  2. 記録から消す:評価シートに書き込まない。後の選考に影響させない。
  3. 合否判断に使わない:応募者から回答があっても、判断材料にしない。
  4. 社内で共有する:「こういう質問をしそうになった」と面接官同士でフィードバックする。

応募者から「差別的な質問を受けた」と労働局に通報された場合、最も重視されるのは「その情報を採用判断に使ったか」です。質問してしまっても、判断に使わず撤回していれば、事実上の問題にはなりにくいです。逆に、評価シートに「既婚・子持ちのため懸念」などと書いていたら一発でアウトです。

合否判断に使える正当な質問の作り方

NG質問を避けるコツは、すべての質問を「業務遂行能力」に紐づけることです。

質問を作るとき、次の3つを自問します。

  1. この質問で得た情報は、業務のどの部分の判断に使うか?
  2. 業務との関連を、応募者に説明できるか?
  3. 同じ情報を、別の(差別につながらない)聞き方で取れないか?

❌ 悪い例:「お子さんは何歳ですか?」(業務と無関係、説明不能) ✅ 良い例:「当社は繁忙期に月20時間程度の残業があります。対応可能でしょうか?」(勤務条件の確認として明確)

業務内容の定義があいまいだと、面接でも的外れな質問が出やすくなります。採用基準を固める前提として、求人票の仕事内容を具体的に書くことが出発点になります。仕事が明確なら、聞くべきこともおのずと絞られます。

面接評価シートにNG質問を混入させないチェック方法

多くの企業で、NG質問はテンプレート化された評価シートの中に紛れ込んでいます。「家族構成」「配偶者の有無」という欄が残ったままの評価シートを使い続けているケースです。

チェックの手順は次の通りです。

  1. 評価シートの全項目を洗い出す:氏名・年齢・経歴以外の項目をすべてリストアップ。
  2. 各項目に業務関連性を書く:「この項目は、どの業務判断に使うか」を記入。書けない項目は削除。
  3. 14事項との照合:厚労省の14事項に該当する項目がないか確認。
  4. 面接官の質問リストも同様にチェック:よく使う質問集があれば、同じ手順でふるいにかける。

年1回、新年度のタイミングで見直すサイクルにしておきましょう。法令や解釈の更新があっても取り残されません。

❌ 悪い例:「10年前から使っている評価シートをそのまま使っている」 ✅ 良い例:「毎年4月に評価シートと質問リストを法務・人事で見直し、14事項チェックを通している」

求人票そのものにもNG表現があります。求人票のNGワードと合わせて確認すると、採用プロセス全体の整合性が取れます。面接とのズレを防ぐには、求人票の書き方完全ガイドで全体像を押さえておくとよいです。


面接で聞いてはいけないことを知るのは、応募者を守るためであり、同時に企業を守るためでもあります。違反質問1つで採用ブランドは崩れ、労働局から指導が入れば採用活動そのものが止まります。一方で、業務遂行能力に絞った質問だけで、必要な情報は十分に得られます。

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